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2009年11月09日 (月) | 編集 |
THE CHEMISTRY OF AUTUMN COLORS も参考に

秋の紅葉が美しい季節になりました。もみじ狩りをしながら、「何故、樹木の 葉は秋になると紅や黄色に変わるのだろう」と、ふと思う方も多いことでしょう。 辞典を開いて調べ、「なるほど」、と納得しながら、翌年の秋になるとまた、 「何故...」と、同じ質問を繰り返している方(私も含めて...)のために、 今回は紅葉の科学を復習します。

 
春から夏にかけて、樹木の葉は緑色に見えます。緑色の色素は「クロロフィル」 という物質に起因します。「クロロフィル」は、太陽の光の原色を構成している赤 緑青の三色の中から、赤と青の光を吸収します。緑の光は吸収されずに反射 されるため、葉は緑色に見えるのです。
 「クロロフィル」は不溶性で、細胞の中の葉緑体と呼ばれるものに付着しており、 この葉緑体で光合成が行われます。「クロロフィル」は光を吸収し、二酸化炭素 +水を、酸素+炭水化物に換えるためのエネルギーを供給するのです。「クロロフィル」は大変不安定な化合物であり、強い太陽光により分解されてしまい ます。葉は常に「クロロフィル」を合成して作っていますが、そのためには、暖かい 温度と太陽光が必要です。従って、夏には大量の「クロロフィル」が分解されると 同時に合成されるのです。

 樹木は成長すると共に、昆虫に食べられたり、病気にかかった古い葉を落とし、 新しい葉を付けます。常緑樹は特別な葉を持ち、寒さと乾燥に強いのです。そのため常緑樹は冬になっても水がある限り、光合成し続けます。
 一方で、落葉樹は冬に備えて、葉を落とし始めます。葉の基には、離層と呼ば れる層があります。この層を細い管が通っていて、水を葉に運び、光合成により 生成された糖を木に送り返します。夏の間に樹木は、「グルコース」と呼ばれる 糖を必要以上に生成します。過剰分はでんぷんとして、必要になる時まで保存 されます。秋になる頃には離層はふくれあがってしまうため、水を送っている細い 管の流れは止まってしまってしまいます。水が無くなってしまうと、葉は光合成が 出来なくなり、やがて落ちてしまうのです。

 以上の事をふまえて、秋になると何故樹木の葉は黄色や紅に変わるのかを 考えてみます。

 葉が黄色くなる現象には、「クロロフィル」の他に葉に含まれている「カロチン」 という色素が係わっています。「カロチン」もまた、葉緑体に含まれています。「カロチン」と 「クロロフィル」が同時に存在している時 赤、青緑、そして青の光 が吸収され、葉は緑色の光を反射するため、緑色に見えます。
 「カロチン」は光からエネルギーを吸収する役割を持ち、そのエネルギーは 「クロロフィル」に運ばれます。そして「クロロフィル」はこのエネルギーを光合成 のために使うのです。
 「カロチン」は「クロロフィル」よりずっと安定している物質です。そのため、 気温が低くなって「クロロフィル」が合成されにくくなる秋には、「カロチン」が 残ります。
「カロチン」は青と青緑の光を吸収します。吸収されない赤と赤味を帯びた緑色が 反射されるため、葉は黄色に見えるのです。

 紅葉の紅い色には、「アントシアニン」と呼ばれる色素が関係しています。
「クロロフィル」や「カロチン」と異なり、「アントシアニン」は細胞の膜に付着し ておらず、細胞液の中に溶けています。この「アントシアニン」によって生成される 色は、細胞液のpHの変化に大変敏感です。もし細胞液が強酸性に傾くと、大変 鮮やかな赤色を葉に与え、逆に弱酸性の時は、紫味を帯びた色となります。
「アントシアニン」は熟したリンゴやブドウの皮の赤い色の原因となるものです。
「アントシアニン」は、細胞液中の糖とある種のタンパク質間の反応により生成され ます。この反応は、細胞液の糖値が大変高くなるまで起こりません。先に述べた ように、秋には離層がふくれあがってしまうため、水を送る細い管の流れは止まって しまってしまいます。
葉には糖が過剰となり、「アントシアニン」が生成されやすい環境ができます。
「アントシアニン」は、青,青緑,そして緑の光を吸収するため、赤い光が反射され、 葉が赤く見えるようになります。

 いちょう、プラタナス、カバの木やヒッコリーの葉はカロチンを含んでいるため、 クロロフィルが生成されなくなると黄色くなります。かえでやツタは、糖分が異常 に増えやすいため、アントシアニンが生成され、紅く見えます。

 以上に述べたような仕組みから、晴れの日が続き、寒く乾いた夜がやってくると、 よりあざやかな紅葉を見ることが出来るのです。ここで説明したことは、現在一般 に知られている紅葉の仕組みですが、例えばカロチンの役割など、まだ解明され ていない点もあります。


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